副業に興味をもっている主婦の方も多いのではないでしょうか。
クラウドソーシングやスポットバイトの浸透で、家事や介護、育児などで忙しい主婦でも、副業しやすい環境は整いつつあります。
そこで今回は副業をした経験のある主婦381人にアンケートを実施。
「実際に体験した副業」や「副業をしてよかったこと」について調査しました。
- 調査対象:副業をしたことがある主婦
- 調査期間:2025年7月12日~26日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:381人
- 回答者の年代:20代 15.0%/30代 41.7%/40代 25.7%/50代以上 17.6%
調査結果に対して、一般社団法人日本親子コーチング協会理事の愛川よう子氏よりご考察いただいております。

■監修者プロフィール
愛川よう子氏
公認心理師
一般社団法人 日本親子コーチング協会理事
コーチング・脳科学・各種心理学に基づいた独自のメソッドで、主婦の悩みを解消し、よりよい人生を生きられる心理支援を中心に活動。
日本の学校教育にコーチングを導入するプロジェクトも運営。
著書:「ママの自己肯定感がグンと高まるアドラー流「感情マネジメント」
—子育てのイライラ・怒り・不安は手放せる!感情を味方につければすべてが変わる!」
主婦が経験したことのある副業1位は「飲食店スタッフ」

副業をしたことがある主婦381人に「実際に経験した副業」を聞いたところ、1位は「飲食店スタッフ(16.5%)」でした。
ホールスタッフのほかキッチンスタッフも含み、継続的に働く人もいれば、スポットバイトで副業した人もいました。
以下、2位「Webライター(13.9%)」、3位「アンケート回答(9.4%)」、4位は「データ入力(8.7%)」、5位「物販(7.1%)」の結果となっています。
2位以降は在宅やオンラインでできる仕事も多くランクインしているのが特徴です。
アンケート回答では、育児や介護と両立するために、在宅でできるかどうかを条件にして副業を探した人も多くいます。
全体的には「特別なスキルを必要とせず、スタートするハードルが低い仕事」が多くなりました。
また飲食店でのスポットバイトも含めて、自分の好きな時間に働けるという仕事も多くなっています。
主婦が副業を始めたきっかけは「自分の小遣いを稼ぎたい」

主婦が副業を始めたきっかけの1位は「自分の小遣いを稼ぎたい(26.5%)」。
僅差の2位は「家計の足しにしたい(24.4%)」、3位は「スキマ時間を活用したい(21.3%)」でした。
副業を始めた理由として多かったのは「お小遣い稼ぎ」「家計の足し」「貯金したい」などの経済的な動機です。
「自由に使えるお金が欲しい」「生活が苦しい」など状況は異なるものの、お金が欲しかったり必要だったりして副業を検討する人が多いとわかります。
1位 自分の小遣いを稼ぎたい
- 親や兄弟に自分のお金で旅行やプレゼントをしたく、自分の自由なお金が欲しいからです(20代)
- 自分だけの、こっそり使えるお小遣いが欲しかったからです(30代)
- 少しでも自分でお小遣いを確保したかったから(40代)
1位は「自分の小遣いを稼ぎたい」でした。
経済的に追い詰められて危機的状況にあるというよりは、生活は何とかやっていけているけれど、自由になるお金も欲しいという理由です。
「自分のお小遣いは自分で稼ぎたい」という声もあり、誰かから小遣いをもらうのではなく自分で稼ぐことへのこだわりも見られます。
自分が自由に使えるお金としてのお小遣いを確保したくて、副業を始める人が多いのですね。
お小遣い程度に稼げればいいという気持ちで副業を始める場合には、副業にかける時間や労力も、比較的少なく済むと考えられます。
2位 家計の足しにしたい
- 夫の収入だけでは生活が苦しかったので、少しでも何か稼げないかと思い、副業をしました(30代)
- 月々の収入が生活するのにギリギリだったので(50代以上)
2位は「家計の足しにしたい」でした。
「夫の収入だけでは苦しい」「本業の収入だけでは足りない」などの事情で、副業を始めた人も多くなりました。
お小遣い稼ぎをしたい層よりも、経済的なひっ迫感は高いと言えます。
3位 スキマ時間を活用したい
- パートで週4日働いていて、空いた時間を有効に使えないかと思ったことです(30代)
- ちょっとした空き時間で手軽にお金を手に入れるためです。空き時間にボーッとしているのももったいないので、時間をお金に変えるつもりで始めました(40代)
- 本業がお昼で終わるので、時間があった(50代以上)
3位は「スキマ時間を活用したい」となっています。
「パートの出勤日が限られている」「本業の空き時間や休憩時間が長い」など、自由になる時間があり、時間を活かしたいという理由で副業を始めた人も多数。
「ボーッとしているのももったいない」という声が複数あり、何もしない時間をなくすように行動する人が多いこともわかります。
また育児中の人に特有の事情として、「子どもの体調不良などで仕事を休むと、急にスキマ時間ができて困っていたので」という声も。
急なスキマ時間を埋めるために、副業している人もいるとわかります。
4位 好きなことを活かしたい
- イラストが趣味だったので、「イラストがお金になれば嬉しいな」と思った(30代)
- 今の仕事以外に「意欲の湧く仕事」をしたかったため(40代)
- 趣味を仕事につなげたいと思ったけれど、食べて行けるのか不安だったため、まずは副業から始めようと思いました(50代以上)
4位は「好きなことを活かしたい」でした。
趣味や得意分野を活かしてお金を稼ぎ、自己実現と働きがいを得たいという人もいます。
本業で好きな仕事や希望の部署で働けていない場合に、副業で希望の仕事を経験できるのは大きなメリットです。
また、得意分野を活かしての独立や転職を考えていて、副業で試してみるというケースもありました。
本業で収入を担保しながら、転職やフリーランス転身に向けた準備ができるのも、副業のメリットです。
5位 もっと貯金したい
- 本業だけでは手取りが少なく、貯金できなかったから(30代)
- 子どもが受験をすることになって塾のお金が必要になり、副業を始めた。子どもの教育資金を貯めるために貯金をしたかったため(40代)
- 少しでも収入を得て、将来への備えを増やすため(50代以上)
「もっと貯金したい」が5位です。
貯金したい理由としては、子どもの教育費に備えたい、老後資金を貯めたいなどがありました。
具体的な目標や目的を設定して、貯金のために副業を始めた人も多くいます。
「本業だけだと貯金まではなかなかできない」「貯金を取り崩すことが増えた」という声もありました。
主婦が副業を見つけた方法は「周囲の紹介」

主婦が副業を見つけた方法で最も多かったのは「周囲の紹介(25.5%)」でした。
家族や友人から副業を紹介された人が多かったほか、勤務先や取引先の紹介で副業を始めた人もいました。
また2位「ネットで検索(20.7%)」も20%以上から回答を集め、多くなっています。
以下、3位「SNS(15.0%)」、4位「求人サイト(14.4%)」、5位「クラウドソーシング(13.1%)」の結果です。
1位の「周囲の紹介」以外はすべてネット上での行動となっていて、ネット上の情報やプラットフォームを使って副業探しする人が多いとわかります。
一方で1位の「周囲の紹介」には、「紹介者がはっきりしており、副業の内容や報酬などを事前に詳しく聞ける」「安心して副業を開始できる」というメリットがあります。
主婦が副業をして感じたメリット1位は「収入が増える」

副業をして感じたメリットを聞いたところ、1位は「収入が増える(49.1%)」で、半数近くの人から回答を得ました。
2位「スキマ時間を活用できる(22.0%)」と答えた人も多くなっています。
副業のメリットとしてすぐ思いつく「収入アップ」がやはり1位。
収入が増えることによって、副業をするきっかけや目的であった「お小遣い稼ぎ」「家計の補填」「貯金」などが叶うからです。
ただ収入以外にも、スキマ時間の活用や充実感、スキルアップ、気分転換など、多くのメリットがあるとわかりました。
1位 収入が増える
- 金銭的に生活に余裕ができた。収入が少ないときは友人との外食を控えていたが、副業を始めてからは友人との外食にも行けるようになった(20代)
- 少しでも収入が増えることによって、生活の不安が少なくなる。(30代)
- お小遣い程度ですが収入は増えたので、好きなことに使えてよかったです(40代)
1位は「収入が増える」でした。
収入が増えることは副業によってもたらされる、最もわかりやすいメリットのひとつです。
実際に収入が増えたことで、金銭的な余裕が出て、「好きなことにお金を使える」「子どもにお金をかけられる」など豊かな生活を実現した人も。
また金銭的な余裕が精神的な余裕につながっているという声もありました。
副業には経済的なメリットがあるのはもちろん、精神的なメリットもあるとわかります。
2位 スキマ時間を活用できる
- 何もすることのない休みをお金に換えられるので、気分がいい(20代)
- 暇な時間が減ったので、「1日を無駄に過ごしてしまった」と感じることがなくなった。昼寝をして夜眠れなくなったり、家族に対して引け目を感じたりすることが減った(30代)
- 空いている時間を少しでも有効に使えて、嬉しく思った(40代)
2位は「スキマ時間を活用できる」でした。
スキマ時間を活用することで、「無駄な時間がなくなった」「時間をお金に換えられている」という満足感を得ている人もいます。
ダラダラ過ごしてしまうことへの罪悪感が根底にあり、副業してお金を稼ぐことで罪悪感が軽くなったり消えたりするという心理がわかります。
時間を無駄にしていないことが重要なので、「稼ぐ金額は少なくても許容できる」「少しでも稼げれば有意義」という声もありました。
3位 充実感を得られる
- 副収入を得られることよりも、誰かに喜んでもらえたことがとても嬉しかったです(30代 女性)
- 普段の仕事と違い、疲れたけれど、やりがいはありました(50代以上)
3位は「充実感を得られる」となっています。
副業でクライアントなどから直接的なフィードバックをもらうことなどにより、本業では得られない充実感を得ている人もいます。
具体的に充実感を感じる瞬間としては、「クライアントからお礼を言われたとき」「人の役に立てたと感じられたとき」などが挙げられました。
また「人手不足なので感謝される」など、働くだけで感謝されている例もあります。
充実感ややりがいは、副業から得られる金銭以外の重要な報酬です。
4位 スキルアップにつながる
- パソコンに強くなり、本業でも活かせるようになった(30代)
- 文章を書く能力や、自分で調べる力などが身についた(40代)
- 収入としては微々たるものではありますが、自分で勉強したことは自分自身のスキルになるので、自分が成長できていることがよいと思います(50代以上)
4位は「スキルアップにつながる」でした。
副業は、実務を通じたスキル獲得の場にもなりえます。
具体的には「PCスキルが身についた」「文章力がついた」「物販のやり方を学べた」といった声が寄せられました。
金銭的な報酬が少なくても、スキルが身につくならいいと考える人もいました。
5位 視野が広がる
- 会社によって倫理観などが全然違うため、考え方が凝り固まらない(30代)
- 新しい仕事をし、社会との関わりをもったことで視野が広がり、人生が明るくなった(30代)
- いろいろなお金の稼ぎ方があると思いました(50代以上)
「視野が広がる」が5位です。
副業で本業とは違う業務、社風、ルール、同僚、顧客などに接することで、視野が広がると感じた人もいます。
視野が広がることで、自分のもっていた固定観念が取り払われたり、転職など人生の選択肢が増えたと感じたりした人も。
また副業することや「クラウドソーシング」「在宅ワーク」で働くことが、新しい働き方の体験となり、視野を広げてくれることも考えられます。
6位 交友関係が広がる
- 副業の場で知り合った人と友人関係になり、コミュニティーが広がる(20代)
- 普段関われない年齢層の人と交流ができた(30代)
- 違う業種の人と話ができること(50代以上)
「交友関係が広がる」が6位になりました。
副業をすると、当然のことながら本業とは違う上司や同僚と一緒に働きます。
在宅ワークの場合も、クライアントや同じプロジェクトチームの仲間との交流は可能。
そのため副業を通じて、交友関係が広がったと感じている人もいます。
副業で友人ができたという声もありました。
7位 気分転換になる
- 外に出ることによって、気分転換ができる(20代)
- 普段の業務内容とは異なる仕事であるため、気分転換にもなる(20代)
- 別の現場になることで、本業のストレスが緩和された。息抜きのような場にもなっていたのかと思います(30代)
7位は「気分転換になる」でした。
副業はリフレッシュの手段にもなっています。
副業することで、本業と業務や関わる人を変えられますし、外で働く場合には環境も変えられるからです。
趣味を生かした副業やもともと興味のある副業をしているわけではなくても、気分転換につながったという声は多くなっています。
また「副業をすることで、本業のメリットに気付いた」という声も。
副業による環境の変化が、ストレスの緩和や本業へのモチベーション回復につながっていることがわかりました。
調査結果に対して監修者の愛川よう子氏から総括コメント
主婦の副業としては、スタートのハードルが低いものや在宅で仕事できるものが多く選ばれています。
またアンケートの結果、経済的な理由で副業を始めた人が多いことがわかりました。
一方で実際に得たメリットとしては、収入アップだけではなく充実感やスキルアップを挙げた人も多くなっています。
つまり主婦にとっての副業は、お小遣い稼ぎや家計の補填だけでなく、生活や心を豊かにする手段であることも明らかになりました。
最後に当記事の監修者、一般社団法人日本親子コーチング協会理事の愛川よう子氏の総括コメントを紹介します。

主婦の副業調査から見えてくるのは、表面的な「お金を稼ぎたい」という動機の奥にある、より深い心理的ニーズです。
注目すべきは、副業開始の理由が経済的動機が上位であるのに対し、実際に得られたメリットでは「充実感」「スキルアップ」「視野の拡大」という声があがっている点です。
これは、多くの主婦が心の奥底で「自分らしく活躍できる場所」や「誰かに必要とされる経験」を求めていたということではないでしょうか。
実際、主婦となっても「社会の中で貢献したい」「働くことで自分の価値を感じていたい」さらに「自分の好きなことを仕事にしたい」という願いを持つ方も少なくありません。
子育て中の方も、子育てがひと段落した方も、それぞれのライフステージで活躍できる場がもっと増えていけば、
多くの主婦が自分らしく輝けるのではないでしょうか。
